安倍政権は、改憲路線を明確にするとともに、露骨な社会保障費の削減を打ち出しています。2015年度予算では、防衛費が3年連続の増加、2014年度補正予算と合わせると5兆円の大台にのる一方で、介護報酬を2.27%引き下げるなど、社会保障費の自然増を3900億円も削減しました。消費税の増税と社会保障の削減が一体的に行われています。

 

なかでも、社会保障削減の最大のターゲットとされているのが、介護分野です。昨年6月に成立した改正介護保険法は、2015年4月から施行されており、要介護1、2と判定された人は、原則、特別養護老人ホームには入所できなくなっています。また、一定所得以上の人の利用者負担の2割化、補足給付の厳格化など負担増が2015年8月から実施されます。一方で、65歳以上の高齢者(第1号被保険者)の介護保険料は、2015年4月から全国平均で月額5514円と、前年度の4972円から約11%もアップしています。鹿児島県の平均保険料は月額5719円で、全国平均を上回っています。

 

社会保障のためといって消費税が増税されたのに、なぜ保険料負担・利用者負担が増え、給付が抑制されているのでしょうか。このままでは、重い利用者負担のために、軽度者(要支援者、要介護1・2)と判定されたために、必要なサービスが利用できない高齢者が、特別養護老人ホームにも入所できず、行き場のない「介護難民」が増大することは避けられません。とくに、ひとり暮らしの高齢者が多い鹿児島県では、高齢者の孤立死が多発することが予想されます。また、介護報酬引下げにより、介護の担い手が不足し、過重労働のために介護事故やミスが多発するおそれがあります。そうならないために、県政は何ができるのか、介護の担い手を確保するにはどうしたらいいのか、みなさんと考えます。